なんと驚くことにスパイ防止法がない国は世界で日本のみ
ところでなんでスパイ防止法がないの?と疑問がわきませんか?
何故ないの?無いとどうなってしまうの?といったところから話はスタートします。
この話題を検索すると高確率で『「スパイ防止法」制定促進サイト』というページが出てきます。
ウイキペディアより引用いたします。
現在においても、「スパイ防止法制定促進国民会議」により公開されている『「スパイ防止法」制定促進サイト』は統一教会の関連団体である世界平和連合が公開しているものである。
1968年1月、統一教会は「共産主義に勝つ」を名称をつけた国内外で政治工作する団体「国際勝共連合」を韓国で設立し、同年4月には日本でも設立した。同団体を「政治的な布教」の拠点とした。国際勝共連合は本法案に賛成の立場を取っており、前述のとおり1978年から推進運動に関与した
非常に興味深いことが書いてあります。一度読んでください。
なぜ日本にはスパイ防止法がないのか?
なぜ無いのか?
日本にスパイ防止法がない理由は簡単に表現すると、「戦争の反省から。」ということになるでしょう。
過去日本では、国家の管理により進む方向を決められ、それに反する行為は国家に仇なす行為として密告が行われました。それにより取り締まりが行われました。それが純粋にスパイ行為(相手国に利益を供与する行為)を取り締まるものなら問題はなかったでしょう。
しかしながら、現実としては相互監視による窮屈な社会と、不合理な運用が行われました。
反対というだけで立場が危うくなるのです。
不合理な運用とは国家側による裁量の逸脱によるものだけではありません。
国民側からも他者との相性や、妬み嫉みといったものが、俗にいう屁理屈(それ関係ありますか?といったもの)により、国家一丸の邪魔になるという理由付けのもとに密告が行われました。
簡単にはその反省から日本にはスパイ防止法がありません。
なぜそのような運用となったかは様々な考察が行われています。それには触れませんが、管理人はこう思っています。
お互いに、見逃せば自分が罰せられる。だからやるしかない。だから仕方がない。といった正当化の感情があったかもしれません。これは特に末端で取り締まりに当たる人々にはあったのではないかと思います。しだいに精神は麻痺し自己の利益のために利用するようになったと考えています。
もちろん国家の上層部であっても弱腰だ!赤じゃないのか?などと嫌疑を掛けられれば、ただではすみません。
さらに言えばごく一般の国民であってもそれは同じだったでしょう。
治安維持法
大事な部分なのでもう少し踏み込みましょう。
明治時代、時の人々は世界の自由は空気にふれます。私たちも自由に生きたい。誰しもそう思うでしょう。それは言論や思想的な内心の自由を求める流れだったでしょう。
内心の自由は現憲法では侵すことの出来ない自由であるとされています。
大きく世の中が変動している時代。その中で主に財産権に関わる事で国が資本主義社会を進んでいた当時、社会主義的な思想をもつ者もあらわれます。様々な思想をもつ者たちが言論の自由のもとに思想(情報)の発信を始め(当時は主に書籍であろう)集団化します。中には暴力的な行動に出るものもいました。それを取り締まるために出来たのが、
治安維持法
です。
治安維持法は2度の改正があります。主には罰則の強化(死刑も含んでいました)と団体に対する規制になります。
それが明治大正昭和と続き戦時中には国の体制の一本化と社会の安定化いう趣旨から外れ国民管理と支配のために使われるようになりました。そして大きな抑圧の原因となります。
その後、敗戦により治安維持法は廃止となりました。
法律や裁判による判例というものの寿命は非常に長く、この令和の時代であってもいまだに明治の判例で生きているものもあります。
それを考えると、スパイ防止法については必要だが、一歩歩を進めてしまえば足を戻すことが困難であることも事実でしょう。
ただ、今現在も様々なものを奪われ、権利を侵害されそれが回り回り生命の危機を呼んでいる段階にあります。
一歩足を進める時ではないかと考えています。
現行の法律での対応範囲
公務員を対象とした主に情報漏洩を禁じる条文
・国家公務員法 100条(秘密を守る義務)
・地方公務員法 34条(秘密を守る義務)
・自衛隊法 59条(秘密を守る義務)
以上は主に情報漏洩しない義務を課したもので、守らなかった場合の罰則が定められているわけではない。
立場や国籍に関した明記の無いもの
・刑法81条(外患誘致)
・82条(外患援助)
・87条(未遂)
・88条(予備及び陰謀)
以上は主に有事に際しての適用がそうていされている。今までこれが適用された例はない。(検討されたことはある)
他にも77条~79条には内乱やそれに関する罪刑が定められています。
破壊活動防止法
暴力主義的破壊活動を行った団体に対する必要な規制措置をとるための法律
暴力主義的破壊活動とその団体の定義づけし規制し、教唆含めこれをやったら刑法を適用しますという立て付けの法律
主に38条に外患誘致罪に関する規定があるが、4条に暴力主義的破壊活動の定義があり非常に多岐にわたっている。
特定秘密保護法
安全保障上の秘匿事項の漏洩を禁止し、罰則を設けたもの。何を秘密とするかは行政庁の裁量。
これも公務員や一般の国民の別はなく罰則が科される。
十分規制されているのでは?という意見
十分に規制されているという意見があるのも事実です。
これらを考えるとき主に
・公務員が、行政の持つの情報を漏洩するのを禁じる法律
・有事に際しての外国勢力と通謀する者に対する法律
・破壊活動を定義ずけその団体を規制する法律
・国の持つ秘密の漏洩を禁止する法律
の4点に分類されます。この中に国民(民間)の持つ情報権利の流出を防ぐ法律はありません。また他の国と比較し犯罪に問われた場合の罰則が非常に甘く、流出した情報の価値と罰則が釣り合わないため捕まっても十分な利益があります。これは国に対してのスパイ行為でも同じでしょう。
現状捕まろうが取ってしまえばスパイの勝ちです。
大きなくくりでの国、国民の権利利益を守ることに関して大きな欠陥があると言わざるを得ません。
泥棒は警備の弱い場所、捕まっても大したことのない国に集まります。
あらゆる分野での情報の漏洩
見えやすいところでは、農作物の種子、品種の流出がわかりやすいでしょう。
歩いていく道のすぐ先マキビシを撒かれ、持っていた荷物はいつの間にか無くなり、ポケットからは財布もなくなり、のどが渇いて飲み物買うのに金がないから大事なものと交換し、時々乱暴な奴に殴られ、・・・・・ということが永遠と続きいつか倒れる日が来ます。その時泣きながら何か思っても遅いのです。
スパイ防止法に問題は無いのか?
あります。
現在新たにできる法律は基本的に国民を規制する法律になります。
これが憲法では権力を規制する立て付けになっています。そのため新たにできる法律には憲法上明らかに明記の無い部分を定める場合留保をつけて法律を作ります。
留保とは
あるものや状態を一定期間そのままに保っておくこと、留めておくこと。
例:憲法 第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
赤ラインが留保です。公共の福祉に反するとされれば青ライン部を規制できます。
これが留保です。
スパイ防止法を考えるとき、この留保を考えなければなりません。
例えば、簡単ですが
○○条 国の情報を漏洩した者は厳罰に処する。
とあったと仮定しましょう。実際はこのような簡単な条文はほとんどありませんが、、
まず、国の情報とな何ぞや?誰が決めますか?と言った事が問題になります。
戦闘機の先端情報が盗まれました。→これは国の情報っぽいですよね。
官僚が賄賂を受け取りました→これはどうでしょう?
政治家が収賄しました→これはどうでしょう?
贈賄により不当な利益配分がされました。→これはどうでしょう?
結果はすべて国の利益が損害を受けますがどう思われますか?
国の情報を公表する際にその情報が規制されるかされないかを罰する側が決めるのではどのような恣意的な運用がされるかわかりません。
これが、表現の自由に抵触する可能性が高く大きく問題にされる部分です。
知ることもなく、知らされることもなく、事が進んでいきます。
この危険性は甚大です。
情報漏洩と表現の自由をバランスさせる方法は無いのか?
あります。
留保をつける考え方と反対の考え方があります。
刑法にその考え方が表れています。
列記主義といいます。
これは何が国家情報であるかを明記し、明記されていないものはそれに当たらないという考えです。
分かりやすく例を考えてみましょう。
事例1
法○○条 国土防衛に関するは、以下の情報を国家情報とする
1項 防衛省に管轄するもの
1 土地、建物、構造物に係る場所、設計、性能、材料に関する事項(取得予定、設計段階、検討段階の資料を含む)
2 武器、装備品に関する性能、用途、数、装備場所に関する事項(研究中、設計段階、検討段階、過去の類する資料を含む)
3 航空機、船舶、車両に関する性能、用途、数、装備場所に関する事項(研究中、設計段階、検討段階、過去の類する資料を含む)
2項 漏洩の事実を内容とするものは、国家情報にから除く
このような条文があったとしましょう。
以上の具体的な資料が国内を含め流出したら、スパイ防止法に類する法が適用されるでしょう。
では以下はどうでしょう。
防衛省の公務員が賄賂を受け取り贈賄側に特別な利益を供与していた。
もっとわかりやすくしましょうか?
公務員(特別職の公務員である大臣等も含むと考えてください)が賄賂を受け取り、、、、国家機密である最新機器の仕様を漏らした。
公務員がしゃぶしゃぶ店で接待を受け、、、、随意契約により不当な利益を供与した。
という場合は列記されてはいませんから法の適用はありません。
なんの国家機密を漏らしたか?という事項と国家機密の詳細が何か?ということは同じではありません。
漏らした事実は列記されていません。このため報道その他規制の対象にはなりません。
が、漏らした者は内容が列記されていれば適用の対象になります。
これが列記主義ではない場合、スパイ防止法があれば都合の悪いこととして報道が規制される可能性があります。
それを防止するのが列記主義です。
反対派と賛成派
スパイ防止法の制定には賛成派と反対派があります。
賛成派は上記で紹介した国際勝共連合
反対派は弁護士会
お互いに主張はこうです。
賛成派はスパイ防止法が無いとこんな大変なことになるぞ。いいのか?一辺倒でそのデメリットに深く触れることはなくデメリットはすべてそうはならないと簡単に一蹴されています。
反対派は規制されたら大変なことになるぞとその危険性を叫ぶのみです。
情報漏洩のデメリットと規制のデメリットを天秤にかけることは一切しません。デメリットの解消を試みる議論もありません。
非常にバランスの悪い議論がそこにあります。
どこか自分に利益をもたらそうとしているのでは?と考える方もいるでしょう。そうかもしれません。内心はわかりません。
まとめ
メリット方向を考える事とデメリット方向を考える事はどちらも必要です。その中でメリットを最大にしデメリットを最小にする議論ができます。
これを管理人は両輪であると考えています。この両輪がなければ片方の車輪のみでは同じ場所をぐるぐる回るだけになります。何十年も定期的に問題になっては何も決まらない。そして利益のみが永遠と流出しているのが今の日本です。
包み隠さず話し合った結果選んだことが無規制であるならば、国民が結果を受け止めるしかありません。
また規制を選んだ結果だったとしても受け止めるのは国民です。
考えられることを公表し全員で投票した結果がそうであるならそれに従うのが民主主義でしょう。
その際私は、規制するべきであるという考えです。
ただその形はスパイ防止法という形ではなく国家情報保護法、有用情報保護法という名称の法律が適当ではないかと思っています。
ご覧いただきありがとうございました。
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