憲法改正で最初に改正追加する点

推進政策

自民党のサイトに憲法改正の草案が載っています。

日本国憲法改正草案 | 資料| 自由民主党 憲法改正実現本部
憲法公布から70年以上の歳月が経ちました。その間、わが国を取り巻く国際環境は大きく変化し、いま時代に即した憲法が求められています。自主的な憲法改正の実現に取り組む自民党の活動をご紹介します。

非常に多岐にわたっています。仮にですがこれを改正する選挙を行うとして、可決されるでしょうか?ここは賛成。ここは反対。といった場合に全体を容認、否認どちらを選びますか?否認を選ぶ方が多いのではないかと考えます。改正点が多いとなかなか想像が追い付かず賛成してしまう場合もあるかもしれません。

投票率が低かった場合に有権者の20%程度の意思で大事な最高法規が変わってしまうかもしれません。

 

その対応策を最初に決めなければならないでしょう。

 

会社法の定足数と投票数

この改正には有権者の50%以上が確実に同意しています。ということを担保出来るでしょうか?

会社法に参考になる制度があります。(他にもありますが、わかりやすいのは会社法ですね)

 

株主の決議

定足数投票結果
普通決議議決権の過半数の出席議決権の過半数で可決
特別決議1議決権の過半数の出席議決権の2/3以上の多数で可決
特殊決議2株主の半数以上議決権の2/3以上の多数で可決
特殊決議総株主の半数以上総株主の議決権の3/4以上の多数で可決

これは会社法で定められている株主の投票による議決の成立要件になります。

下に行くほど重要な決め事に適用されます。

少しわかりにくいですが、議決権の過半数の出席と株主の半数以上の出席は違います。

これは株主の議決権は保有している株式の量によって議決権の数が違うためです。

具体的にどうなるの?

普通決議

株式20%保有している株主が5名→3人が出席で有効に決議をとれます。→2人賛成すれば成立です。

株式60%×1・10%×4ではどうでしょう?→10%が全員出席しても60%が出席しなければ決議は取れません。逆に60%が一人でも出席すれば有効で一人で賛成すれば可決です。

たった一名で決められます。

 

これが特殊決議の2以下になると、確実に3名以上出席しなければなりません。株主の数の半数ですので。そこにさらに賛成の割合も高く設定されています。

重要なことほど賛成者の実質的な多数を要求し、これにより株主の権利を守っているのです。

 

再度脱線

水道法の話

外資が株式51%持ってれば普通決議、特別決議1までは簡単に決められます。

という話がこれにとどまるのか?というお話

大事なことは一人じゃ決められないから問題ないんじゃないの?という意見がありそうです。これに関して一つのアンサーがあります。

この一社が参加しなければ総会で決議をとれませんし、仮に参加しても一社が反対すれば確実に否決になります。俺が同意しなければ何も決まらないぞ。という状態です。

これに似たことが国際的な場面で見られます。国連常任理事国の持つ拒否権がそれです。

50%以上の議決権を持つということは事実上の拒否権を持っている事と同意です。

決めるときだけじゃなく、決めたくない場合に注目すればその権力の大きさがわかるでしょう。

公益性の高いものを運営する際に外国企業に過半数以上の議決権を与えることの危うさがわかるのではないでしょうか?

 

国民投票に国民の総意を反映させるには?

有権者の過半数が確実に賛成という場合以外は認めないとすることを提案します。

仮にですが投票率が51%ならほぼ全数の賛成が必要となります。

ざっくりですが以下です

投票率(%)賛成(%)投票率×賛成(%)
454018
455022.5
505025
606036
707049
75(3/4)7052.5

*:ついでに国政選挙などでよくあるパターンを比較のために提示します。野党が30%で割れれば全体の18%の賛成で代表が決まります。(実はこれが政党支持率20%でも怖くない理由です。)

 

概ね投票率70%で72%程度賛成があれば過半数の確実な同意となります。

 

この効果は?

1・反対の人は意思表示しなくていい。

2・法律案を提示する側が賛成してもらうためには、国民全体の利益を考えなければならない。(18%の利益を実現しようとしても成立しない)

 

という事でしょう。

 

改正案

先に憲法の条文を

第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする

 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

青線部は発議に関する事です。ここをそのままにする場合は国会議員にこの考えの議員がそれだけ必要という事です。長い話になります。

赤線が改正したい部分です。

ここに可決になる場合、否決になる場合の文言を加えます。

 

草案

第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、総有権者の7割以上の投票を以て有効とし、投票の割合に有効賛成数を乗じた数が、総有権者の過半数を超えることを以て承認とする。

 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

赤戦部分が変えた部分です。

 

まとめ

主催者も憲法は改正したいポイントが多くあります。ですがそれを一気に提示することは現実的に問題が多く一歩一歩進むように改正が必要だと思っています。改正点の数についての法律も必要かもしれません。

そして実際の条文を変更する前にこの承認される場合の条件付けというものが必ず必要だと思っています。

そうして有権者の同意を重視しなければ国民の求める改正も出来なければ、何も変えることはできないでしょう。今まで何十年も変わらなかった理由はその点ではないでしょうか。

 

最大の効果は、多数の国民の利益になる改正でなければ可決されない。一部の考えが反映されることはなく多数の意見を反映することが出来ます。という点であります。

 

では少数意見は無視していいのか?という考えもありますがそれは段階の違う話で最高法規を少数の意見で変えるのが妥当なのか?といった逆の視点から見た場合やはり妥当ではないという考えに帰結するものだと思っています。

 

少数意見は最高法規の下に多層に法律がありその中で解決できると考えています。

 


今回はここまで。ありがとうございました。

 

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