グリホサート規制値についてあれこれ考える
結局のところ 使ってたら人は病気になるのか?と言う事なのだが、様々な思惑意見入り乱れてそれこそ陰謀の外形を醸し出し疑惑臭漂ってますね。
で最初はどんな話だったのか?
ネットに散らばる経緯を時系列準に並べてみた。
年 | 海外 | 日本 |
1970 | モンサント社ラウンドアップ開発 | |
1980~ | 除草剤としてつかわれる | 農薬登録 |
2015 | 世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)がグリホサートを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」と分類 | |
同年 | 欧州食品安全機関(EFSA):ヒトに対して発がん性を有する可能性は低い見解を示す | |
直後~2016 | K・P氏 弁護士事務所と訴訟コンサル契約 米国の弁護士事務所:ラウンドアップを使用経験のあるがん患者に対して、CMで訴訟に参加の募集を行う | |
2016 | 食品安全委員会が発がん性なしの評価 | |
2017 | 欧州化学品庁(ECHA)発がん物質に分類しない | |
2017/7/7 | カリフォルニア州環境保健有害性評価局(OEHHA)は、グリホサートに発がん性の可能性があるとして「カリフォルニア州法プロポジション65」が定めるリストに追加すると発表した。 これは主に表示義務と使用時の警告義務に関する事 | |
2017/12 | 厚労省グリホサートの残留基準値を大幅に緩和 | |
2018/6/24 | バイエル社がモンサントを買収 (バイエルはドイツの会社) | |
同頃 | カリフォルニア州法で、発がん性があると判断した化学物質を含む製品への警告文の表示義務付 消費者12万5000人が、9万5000件もの訴訟 | |
2018/8/10 | モンサント社は約320億円の賠償金の支払いを命じられる これが1件目の判決 | |
2018/10/22 | 上記訴訟の賠償額を減額 | |
2019/3/25 | 2件目の訴訟で発がん性が有りと認定 | |
2019/5 | 3番目でも敗訴(ピリオド裁判) 担当弁護士ウイズナー弁護士 | |
2019/8/7 | 米EPA(環境保護庁)は米国連邦殺虫剤殺菌剤殺鼠剤法(FIFRA)が規定する「誤表示」に該当するとして「発がんのおそれがある」と表示することを禁止するガイダンスを発布した。 | |
2020/6/24 | バイエルは、109億ドル、日本円にして約1兆1600億円を支払うことで和解 和解を主導したのは、原告約10万人を代表する法律事務所ワイツ・アンド・ラクセンバーグ 注:バイエル自体はグリホサートの安全性について不正行為はなく、発がん性を否定していますが和解に応じたということ | |
同日 | アメリカ合衆国の控訴裁判所:カリフォルニア州当局に対し、グリホサートを主成分とする製品に発がん性物質が含まれるという警告文の表示を永久的に禁じる判断 | |
2023 | 9件の裁判でバイエル勝訴 4件で敗訴 | |
空欄が有るのは追記する為です。
ザックリ欧州は発がん性のリスクは低いという方向ですね。
2015年のIARCの発表が転機となってます。
アメリカ国内でも判断が揺れていますね。
しかし何でバイエルはモンサントを買収したんでしょうね?
違和感があるのは発がん性と言う高度に科学的な話を裁判である無しを判断しているのか?と言う事です。
2017年に主に警告文に関するリストに追加されてますから、せいぜい使用時の警告がどうであったか?ぐらいしか判断できそうもないと思うのですが
関係する機関
関係していそうな機関をなるべく集めました。
発がん性に関する姿勢 | ||
WHO | 世界保健機構 | ? |
IARC | 国際がん研究所 | おそらくある |
FAO | 国連食糧農業機関 | ? |
EPA | アメリカ環境保護庁 | 発がん性ありは誤表示 |
OEHHA | カリフォルニア州環境保健有害性評価局 | グリホサートに発がん性の可能性があるとして「カリフォルニア州法プロポジション65」が定めるリストに追加 |
EFSA | 欧州食品安全機関 | 発がん性の可能性は低い |
ECHA | 欧州化学品庁 | 発がん物質に分類しない |
JMPR | FAOとWHOの合同残留農薬専門家会議 | 発がん性のリスク考えにくい |
EDF | 環境防衛基金 | 反ラウンドアップ環境団体 |
おそらく と可能性で危険性が語られています。
キーとなる人物
ここでキーマンとなる人物が出てきたので記載しておきます。
K・P | アメリカの統計学者 |
IARCの委員会の委員長グリホサート評価提案 | |
評価時は特別顧問 | |
初期の評価結果は発がん性なし | |
A・B | アメリカの疫学者 |
環境防衛基金の研究者でもある | |
2014 AHS(農業者健康調査)で論文発表 グリホサートの調査結果は除外 調査結果では発がん性は否定されている | |
IARC委員会の評価時の委員長 | |
別調査(AHS)の関係者でグリホサートの発がん性が否定されていることを知っている。 | |
初期の評価結果から発がん性ありに変更される。 | |
ここで驚くのは反ラウンドアップ団体の研究者がIARC の発がん性評価委員会の委員長であることです。
そのほかの情報
現時点で150か国以上の国で使われているとの記載を見つけました。
主観
以下は主観です。
どうも様々な情報の悪い点だけが取り上げられているような感触です。
例えばアメリカの裁判は基本的に残留農薬が問題にされてはいません。使用時の暴露による健康被害について争っています。ニュースになり情報を受け取るときは単純に使用規制→危険な物である。と言う認識になります。
日本の厚労省はあくまで残留値の問題を規制しています。
ただいくら少なくてもたくさんとれば、、、長期に渡れば、、、と思うのもわかります。
現時点でグリホサートなしでの農業は成り立つのが難しいのも分かりますが、結局のところ使わずに同じことが出来れば済めばお得だよね程度かもしれません。
グリホサート問題を陰謀論として日本の不利益と結びつけるのは早計かもしれません。
もっともK・PとEDFとワイツ・アンド・ラクセンバーグの関係の方が興味深いです。
農薬が人体に害の有る物であると言う事は分かります。
それについて解説してある記事も多く
根拠について引用している元をたどるとページが無かったり、文献が撤回されていたりと今一つ信頼性に欠けることも事実です。これが英文なので分かりにくい。
米国で日本向け小麦の収穫期に枯らすために使う。さらに防カビ材も撒く。それに合わせて残留基準が緩和されたという記事もあれば、それを真っ向から検証し否定している記事もあります。
半ばカオスですね。
また根拠がIARCが危険と言ってるから、賠償判決出てるから。蓄積するから、影響が解明されていないから。と言ったものが多いです。
対して植物を枯らす化学物質が影響が全くないとも考えにくいでしょう。影響もあるのも事実でしょう。
それをどのくらい容認できますか?と言った話になってくるのだと思います。
仮にその影響で1%が1.000001%に増えます。それを防止するためにどういう施策なら受け入れますか?
と言う時にやはり経験則も勘案した基準値と言う物が必要になるのだと思います。
例えば、がん患者ふえてるよね。 子供のADHD ASD LD 増えてるよね アトピー増えてるよね。確かにそうかもしれません。
影響力はゼロではないでしょうそれは事実かもしれません。
それをどの程度ピンチアップするのかと言う事の問題かもしれません。
個人的に問題とするなら2017/12 なぜ基準値を大幅に緩和したのか?と言う事ですね。事実の見えない部分です。
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